平成28年大槌町東日本大震災津波追悼式町長式辞

2016年3月14日

春の近づく3月とは言え、いつもは冷え込むこの季節ですが、今年は暖冬となり、寒さも和らいでいるように感じます。

平成23年3月11日。冷たく 重たい雪が降り、凍える中で過ごしたあの夜を、忘れた日はありません。 

 

本日、多くのご遺族、ご来賓の参列のもと、「東日本大震災津波追悼式」が執り行われるにあたり、犠牲となられた お一人おひとりの御霊に、謹んで 哀悼の意を捧げます。

 

いつも通りの、平和な金曜日であったはずのあの日、突然の大地震と、押し寄せた巨大津波により、この町で暮らす、多くの方々の 尊い命が奪われました。 懸命な捜索にも かかわらず、未だ 多くの方が ご家族のもとへと 帰っておられません。

さらに、それまで何百年と、歴史や文化を重ねながら 築いてきた、かけがえのない ふるさとが 一瞬にして壊滅するという 甚大かつ未曾有の大惨事となりました。

自分の両目で見ている光景が、現実のものとは信じられず、あまりの惨状を前に、泣くこともできずに、ただ茫然と…ただ茫然と、一夜を明かしました。

大切なご家族を亡くされたご遺族の お気持ちを思うと、哀惜の念に堪えません。

 

この5年、心の中で繰り返し再生した、亡くなられた方々との楽しかった日の思い出は、月日が流れるにつれ、少しずつ遠くなりつつあり、それが、寂しくて、たまりません。

 

毎年訪れるお盆やお祭り、誕生日や旅行などの何気ない季節の行事から、入学、就職、結婚のような大きな出来事など、あらゆる暮らしの節目、節目に、あの日突然に居なくなってしまった方々が、傍にいてくれたなら、と思わずにはいられません。

 

自然の無情さを、恨んだ日もありました。最後だとわかっていたなら、と、後悔を繰り返し、目が覚めれば、自分を責めるような日を過ごしてきました。まだ深い悲しみが残る胸の中でも、だんだん大きくなっているのは、もう一度会いたい、話をしたい、という恋しい思いです。

 

 けれど、もう、それは叶いません。だからこそ、私たちは前に向かって歩いて行かなければならないのです。私たちに後を託していった、大切な人たちに恥じないように、生きなければならないのです。

 

現在、町では、一日も早い復興、住宅再建をめざし、全地区において土地区画整理事業や盛土工事を実施しており、今年も順次、災害公営住宅が完成する予定であります。そのほかにも小中一貫校や県立大槌病院、消防庁舎建設など、多くの事業が日を重ねるたびに、目に見える形で進んできております。長期化する復興を少しでも早く進めていくため、膨大な数の事業について、真に必要な事業を検証し「選択」と「集中」による重点化を図りながら、更なる復興の加速化を進めています。

 

そして、二度と災害で命を失うことのないように、震災の検証を重ね、確実な避難行動を行うための防災意識の向上など、ハードだけに頼らずソフト対策も適切に組み合わせた多重防災型のまちづくりに、全力で取り組んでまいりたいと思います。

 

テレビ等でよく耳にするNHKの復興支援ソング「花は咲く」の一節に、「いつか生まれる君に、わたしは何を残せただろう。」というフレーズがあります。

この歌のとおり、私たちひとりひとりも、何かを残され、託されていると思っています。それは、犠牲になられた方の分も、命を大切に、燃やし尽くすように使いなさい、ということなのではないかと思うのです。

 

そして、歌は、こう締めくくられます。「私は何を残せただろう…いつか恋する君のために。」それは、「私がいなくなった後も続く世界で、いつか生まれ、恋をするほど大きくなっていく君のために、何かを残してあげたかった」という、これから先を生きる人々への愛情や、優しさが込められた言葉であると思います。

私たちがどんな絶望の中にいる日も、朝が来て、夜が来て、世界は止まることなく回り続けました。そうして時がたつ中で、しだいに悲しみは癒え、新たな一歩を踏み出すことを考えられるようになりました。

震災後、新しく生まれてきた子供たちも、これから平和な日常を謳歌しながら成長し、友達をつくって遊んだり、喧嘩をしたり、恋をしたりするほど、大きくなっていくことでしょう。

亡くなられた方々もみんな、過ぎゆく時の中で、私たちがそんな「日常」を幸せに過ごすことを望んでくれているのだ、と思うのです。思いたいのです。

あの災害から生き残ったのに、立ち止まったまま、涙にくれるような生き方を、私たちは少しも望まれてはいないということ、むしろ、多くの方の犠牲の上に、次の世代がもっと幸せに生きていく責任があるのだということに、いつも思い至るのです。

 

いま、皆様の御前にお伝えしたいのは、私がこの命を大切に使うことを考えた時、決意したのが、町民の幸せのため、この未曽有の大災害から立ち上がる復興のかじ取りになるという道です。

この震災で亡くなられた皆様、また、この町を築いてきた先人の皆様、私たちは、町民一丸となり、必ずこの町の復興を成し遂げます。そして、ふるさとの歴史をこの先も繋いでゆきます。

どうぞ、空から、もしくはもっと近くで、ゆっくりと私たちをお見守りください。時には背中を押しながら、私たちを応援して頂ければ、幸いです。

 

結びに、亡くなられた皆様の御霊に ひたすら安らかなご冥福をお祈りするともに、 ご遺族の皆様の ご平安を心よりお祈り申し上げ、追悼の言葉といたします。

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