平成29年施政方針

2017年3月15日

平成29年第1回大槌町議会定例会

施政方針演述要旨

 

 

1 はじめに

本日ここに、平成29年第1回大槌町議会定例会の開会にあたり、29年度の町政運営に臨む私の所信の一端を申し上げ、議員の皆様並びに町民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

 

 あの忌まわしい東日本大震災から、間もなく6回目の3月11日を迎えようとしております。改めて、震災で犠牲になられた方々に、衷心よりご冥福をお祈り申し上げますとともに、今もなお、応急仮設住宅などにおいて、不自由な生活を余儀なくされております町民の皆さまに、改めて心からお見舞い申し上げます。また、大槌から離れた地においても、大槌を思い、復興を応援いただいている皆さまに対し、心から感謝申し上げます。

 

(就任1年半を振り返って)

震災から6年、先の見えない状況であったあのころから、一日も早い復旧・復興を成し遂げる想いは、私が町長就任後2回目の予算編成を迎えて、より一層強くなってきたところであります。

 

大槌町の復興は道半ばではありますが、多重化した防災機能を持つ災害に強いまちづくり、被災した町民生活の再建、地域経済の振興等を目指し、これまで様々な課題に対して、議会をはじめ、町民の皆さんと一丸となって、全国からの応援のもとに復興に邁進してまいりました。

 

就任後、私は、机の上だけで考えずに現場に足を運ぶ「フットワーク」、町民や大槌町を大切に思う人たちと膝付き合わせながら得た意見、要望、思いを情報として収集、発信する「ネットワーク」、職員がまちづくりに自信と誇りを持って職務に当たってもらう「チームワーク」の3つの「ワーク」を政治姿勢として復興まちづくりを取り組んでまいりました。

 

 この3つの「ワーク」への自己評価とすれば、及第点には及ばなかったと思います。特にも、「ネットワーク」のあり方には不十分さを強く感じております。今後は、行政施策の方向性を議論する場合における住民参加の会議・懇談会において、住民の方々の満足度、つまり「まちづくりに参加しているという意識」を高めることが必要だと考えています。「会議・懇談会が変われば、まちが変わる」をモットーに、本音ベースで意見交換ができる会議等の持ち方・進め方を改めて模索してまいります。

  

2 町の基本的な政策の方向

(復興に向けた各種計画の着実な実施) 

29年度から、大槌町復興基本計画の最後の2年間である「発展期」に入ります。震災と復興の取組で得られた経験や教訓を活かし、復興を機に培った繋がりや絆を大切にしながら人々が実感できる復興を目指す「大槌町の道標」とするべく、第3期復興実施計画の策定に着手してまいりました。

 

今定例会では、復興計画最後の2年間である第3期復興計画実施計画を上程しております。この実施計画の策定に当たっては、これまでの様々な課題に対して的確に対応するため、昨年度実施した事業見直しから更なるブラッシュアップを図ったところであり、今後は、計画の着実な実施を通じて、一日も早い復興を進めるとともに、より一層の発展を図り、次の中長期的な町づくりビジョンである「第9次大槌町町勢発展計画」につなげてまいります。

 

また、人口減少対策は、震災前からつづく大きな課題であり、町民と共に課題解決に向けて歩み出していくため、地方創生総合戦略に掲げる施策の展開と、外部評価を行ったところであります。行政内の連携だけではなく、外部評価での委員の意見・提言を踏まえ、町民、地域の団体など様々な主体と、分担・協働する仕組み、仕掛けを進め、「住み続けたい、訪れてみたいまち」となるよう、魅力あふれる町を創造すること目指してまいります。

  

(住宅再建の見える化と空き地バンクの創設)

震災によって被災した市街地を再形成するためには、土地造成するだけではなく、市街地に住民を誘導し、商業者を中心部に呼び込み、御社地復興拠点施設や大槌駅の整備によって市街地に新たな動線を生み出し、そこに住む人々のにぎわいを再生させる必要があります。

 

このため、地権者の土地利用意向調査や被災者の再建意向調査に基づく『見える化』の結果に基づき、空き地バンクを実施して未利用地を流動化させ、市街地の形成と大槌町への定住を推進することにより、地域の活性化を図ってまいります。

 

 併せて、土地流動化の促進と区画整理区域内での再建を迷っている方々への誘導政策として、補助制度を実施し、市街地活性化の取組を強力に推進してまいります。

  

(国、県への復興に向けた働きかけ)

震災後、地域住民や旅館業などの事業者、サーファーなどの利用客が熱望している浪板海岸の砂浜再生に関しては、要望書の提出と併せて個別に国や岩手県と協議を進めてきたところであり、私自身、直接、県に出向き、県の関係部局長や振興局長などとの協議を行ってきたところであります。

 

砂浜再生のため、今後も粘り強く関係者と協議を重ね、砂浜再生の実現に努めてまいります。

  

(台風10号被害への対応)

平成28年8月に発生した台風10号による河川被害を受け、県では大槌川源水地域の河川改修や、小鎚川の一部で河道掘削を実施することとなっております。町としても、準用河川大槌川の河道掘削に着手し、河川断面を広げ、減災を進めてまいります。また、農林業の被害への対応については、国の補助対象となる事業規模の大きい被害は、農地、農業用施設24箇所、林道1路線であり、現在、震災の復興工事等と同時進行のため入札不調も出ておりますが、早急に工事発注が出来るよう発注方法の見直しなどを検討してまいります。

 

(復興を支える組織体制)

復興を支える組織体制については、復興事業の完遂に向けて必要な人員の確実な確保を図りつつ、震災復興事業の進捗に伴う応援職員の減少等を見据え、復興期間終了後の人員と適切な規模で行政運営できるよう、事務事業と組織体制の見直しを引き続き進めてまいります。

 

また、復興後の町政運営を担うプロパー職員の人材育成や、年齢構成を踏まえた持続可能な組織の構築のため、研修の充実や人事評価制度の適正運用を図ってまいります。

 

3 平成29年度の予算編成

(平成29年度予算の特徴)

新年度予算につきましては、発展期である第3期復興実施計画に掲げる事業を予算化しており、今後、より一層、復興事業ならびに町並みの再生を強化すべく前進させてまいります。

 

また、29年度は、民間活力を引き出すとともに、市街地への町民の回帰と「定住促進」、さらにそれに続く「生業の再生」と効率的な公共交通により「中心市街地を活性化」させ、コミュニティづくりと併せたまちの「にぎわい」を取り戻すため、「にぎわい再生予算」として編成いたしました。

  

一般会計予算の総額は、前年比で 約29億円上回る 548 億8千万円を計上し、 そのうち復興関連事業費については、約 474 億円であり、前年比で 約24億円上回っております。

 

また、町税収入は28年度と比較して5.4%増の約9億8千万円と緩やかな回復基調となっています。復興分の財源を除いた自主財源比率は前年度では22.0パーセントの13 億円に対し、29年度では24.0パーセントの15億円となり、震災以前と同等の予算額となりますが、より一層、自主財源の確保に向け、努めてまいります。

 

今後は、人口減少による地方交付税の減少や復興後の公共施設の維持修繕等、町の財政状況は一層厳しさを増すことが予想されることから、復興後を見据え、持続可能な行政サービスを維持する為、行財政改革の検討にも着手してまいります。

 

なお、水道事業につきましては、29年度から金沢簡易水道事業及び白銀和野地区飲料水供給施設が大槌町上水道事業に経営統合することにより、簡易水道特別会計を上水道事業会計へ組み込んだ予算となっております。

 

4 平成29年度の主要施策の概要

29年度における具体的な施策でありますが、復興基本計画に掲げる4つの生活基盤において、第3期復興実施計画、各種計画が連動した施策を次のとおり取り組んでまいります。

 

【空間環境基盤】

はじめに、空間環境基盤の取り組みであります。

 

(1日も早い住まいの確保とさらなる支援)

先ずもって、一日も早い住まいの確保を推進してまいります。

 

現在、ハード事業の方向性は概ね固まり、盛土工事や高台移転先の造成工事等が盛んに進み、復興後のまちの姿が徐々に見え始めてまいりました。

 

防災集団移転促進事業や土地区画整理事業、災害公営住宅整備事業等の基盤整備事業も終盤に差し掛かることから、工事スケジュールに遅れが生じないよう進めてまいります。

 

29年度においては、全地区で、住宅再建に着手する方が増えることから、この勢いを止めることなく、より一層、恒久的な住環境の整備を進めてまいります。

 

(主な復興事業の進捗見込)

次に、主な復興事業の進捗見込について申し上げます。

 

土地区画整理につきましては、29年度中に、町方、赤浜、吉里吉里地区で100%、安渡地区においても91%の使用収益開始率に達する見込みであり、早期に建設ができるよう進めてまいります。

 

防災集団移転の宅地整備につきましては、29年度中に、全体の97%に当たる408宅地が完成する見込みであります。

 

漁業集落防災機能強化の宅地造成につきましては、浪板地区、赤浜地区の工事が完了する見込みであります。

 

今後においても、予定通りに工事進捗が図られるよう、しっかり進めるとともに、適時に情報を公表してまいります。

 

災害公営住宅の整備につきましては、今後、多くは防集団地及び土地区画整理区域内での建設を予定しており、29年度は年度別で最多となる244戸の完成を見込んでおり、全体の73%の完成率となります。現在も区画整理の使用収益開始に併せて順次着工しており、被災者の方々の一日も早い生活再建が図られるよう着実に進めてまいります。

 

また、循環型道路網整備については、(仮称)三枚堂大ヶ口間トンネルの30年度完成を目指し、29年度は、トンネル本体工に着手いたします。また、大柾橋架替工事も仮橋・仮道の設置、既存橋梁撤去に着手するなど、本格的な施工に入ります。さらに、臼澤橋に隣接して人道橋及び歩道設置に着手するなど、着実に進めてまいります。

 

 三陸沿岸道路の工事は着実に進展し、平成29年1月には小鎚第2トンネルの貫通により、整備がより一層進むものと期待しております。大槌町としては、内陸と沿岸を縦横断する自動車専用道路の開通と国道340号立丸トンネルが30年度の全線開通を待ち望みながら、内陸部との交通網が一層進化することを踏まえ、内陸部との時間短縮と災害時における「命の道」としての役割が期待される、長年の悲願である土坂トンネルの事業化をめざし、町民が一丸となって国、県等に要望する体制づくりを再構築してまいります。

 

(防集跡地利用の検討)

防災集団移転促進事業により取得した移転促進区域内の土地の利活用については、当町の重要課題であると認識しております。

 

このため、移転促進区域内の現状及び諸条件を整理し、土地利用計画を定めたうえで、必要な整備計画、維持管理計画、利活用の制度化を検討してまいります。

 

(防災減災の取組み)

防災・減災の取り組みでありますが、避難路整備については、桜木町に、震災後初の避難路を新設しました。今後も、緊急性と事業実施の可能性を精査した上で、順次整備を進めてまいります。

 

また、ソフト面の取り組みにおいては、洪水土砂災害時に確実かつ安全に避難していただくため、洪水土砂災害ハザードマップの作成に向け調整を進めているところです。このマップは、各地区の危険箇所や避難場所のほか、災害に役立つ情報を掲載し、台風シーズン前には皆さんにお配りしたいと考えております。

 

加えて、町民の方々の防災への意識高揚と地域間の連携強化を図るため、自主防災連絡会のほか、防災サポーター連絡協議会を創設し、地区防災計画の策定方法や災害対応に関する地区学習会をよりいっそう進め、自助、共助の地域防災力を高める取り組みを進めてまいります。

 

また、昨年115日には、国連総会において定められた「世界津波防災の日」に、全町一斉の津波避難訓練を実施しました。訓練の反省点をブラッシュアップしつつ、今後も引き続き実施し、自助、共助、公助が一体となった「地域防災の向上」を図ってまいります。

 

(震災伝承と震災遺構のあり方) 

震災の伝承については、「大槌町震災津波伝承事業に関する基本的考え」を取りまとめたところであり、震災の事実を「忘れない」、「伝える」、「備える」の3つを基本コンセプトとして次世代に伝承する方法の検討を進めてまいります。

 

震災遺構のあり方については、特定の被災物ではなく、今回の震災による被災物すべてを震災遺構と定義することとし、その活用に当たっては、将来の財政負担やそれぞれの管理者の意向を考慮したうえで、町としては積極的に保存するのではなく、利活用が可能な間、伝承事業等で活用していきたいと考えております。しかしながら、旧役場庁舎については、他の震災遺構と同様、町民それぞれの感情があることも事実であります。

 

震災伝承の3つの基本コンセプトの具現化に当たっては、(仮称)御社地エリア復興拠点施設を交流の玄関口として震災に関する計画的・継続的な企画展示を行い、フィールドにおいては、町が整備する「鎮魂の森」や「納骨堂」、住民による「震災を忘れない木碑」や町内各地区に建設予定の鎮魂碑等でしっかり伝承してまいりたいと考えており、私の旧庁舎解体の方針に変わりはありません。ただし、解体予算の提案時期については、町議会の意見書を踏まえるとともに、町の復興状況を見極め、個別に判断するものとし、旧庁舎解体後の跡地の利活用計画と併せて提案していくこととします。

 

(交通環境整備の推進)

交通環境の推進につきましては、復興の進捗を踏まえ、復興事業終了後の新しいまちに即した持続可能な公共交通体系を構築するため、28年度は、その指針となる5か年の計画として「大槌町地域公共交通網形成計画」の検討作業を進めてきたところです。検討に当たっては、アンケートやワークショップなどで住民の意見やニーズを取り入れ、有識者の見解も参考に計画を取りまとめてきたところです。

 

また、平成31年3月には、鉄路が復旧することとなり、大槌駅舎と駅前広場の整備や鉄道の利用促進についても計画の中で検討することとしており、広く住民のご意見をいただきながら、親しまれる駅や持続可能な鉄道経営を目指して取り組んでまいります。

 

(集会所整備のあり方)

集会所の整備につきましては、小枕地区集会所の設計が完了し、29年度中の供用開始を目指し整備を進めてまいります。

 

また、地域で設置した集会所につきましては、平成28年3月に策定した「集会所設置・運営の基本方針」に基づき、老朽化が進んでいる建物の改修を支援してまいります。

 

(消防会館の整備)

被災前に第1分団第3部に併設されていた消防会館については、旧大槌中学校プールを解体し、跡地に災害復旧いたします。

 

消防会館は、消防団活動の拠点として消防力の強化に努めるとともに、源水地区のコミュニティ活動にも活用としてまいります。

 

(斎場及びリサイクルセンターの整備)

斎場整備については、現在、用地取得に着手しており、29年度は、造成工事、実施設計に着手し、人生の終焉において厳粛に最後のお別れをする場として、ふさわしい施設となるよう、早期の完成を目指し、整備を進めてまいります。

 

マテリアルリサイクル施設整備については、一般廃棄物処理基本計画に基づき、ごみの発生を抑える「リデュース」、ごみを再使用する「リユース」、ごみを再資源化する「リサイクル」の「3R(スリーアール)」を推進し、減量・資源化の促進を図るため、リサイクルセンターの更新を進めてまいります。

 

(水道未普及地区対策事業)

また、水道未普及地区では、昨今、異常気象等による水不足や動植物の影響による水質悪化により、十分な飲料水や生活用水が確保できず、生活に支障が出てきている町民もおられます。

 

これまでも、応急給水活動などの対応を実施してまいりましたが、根本的な解決とはなっておりませんでした。

 

このため、水道未普及区域に居住する町民の飲用水及び生活用水について、井戸や山水等を利用して水源確保する経費に対し、補助金を交付する制度を創設し、生活環境の改善を図ってまいります。

 

【社会生活基盤】

次に、社会生活基盤の取り組みであります。

 

(総合的な福祉事業の展開)

子どもからお年寄りまで誰もが、支えられながら住み慣れた地域で、安心して暮らし続けられる地域の構築が求められております。

 

こうした地域の構築のためには、児童、障がい、高齢者、地域福祉の各般の計画に基づき、自助、互助、共助、公助の役割がそれぞれ機能し、有機的につながっていく必要があります。

 

 特にも、障がい者福祉については、それぞれの障がい者が必要とする福祉サービスの提供を確保するため、29年度に第4期大槌町障がい福祉計画実施計画の改定を行うとともに、高齢者福祉についても、継続して健康な生活を送るための事業推進と地域包括ケアシステムの整備を推進することで介護保険財政の適正な運営を図るための「第7期介護保険事業計画」の策定を進めてまいります。

 

さらに、29年度は、国の改正自殺対策基本法に基づき、町として自殺対策計画を策定することとしており、これまで行ってきた傾聴活動やデイケア、生活相談の場のほか、社会福祉協議会や関係機関が取り組む活動とも連携し、総合的な自殺対策を実施してまいります。

 

また、介護職員や保育士等の専門職員の確保対策については、関係施設との意見交換や県や国の施策を注視しながら、学生の頃から専門職種に興味を持っていただく体験学習の機会を充実させるなど、今後も、取り組みを続けるとともに、民生委員の確保については、民生委員の定数見直しと併せて、空白地域の人選を地域の方々と連携しながら進めてまいります。

 

(子ども子育て支援)

子ども子育て支援の充実強化につきましては、「今後の子育て支援の方向性について」に基づき、今後の町の乳幼児数を見据えた教育・保育体制や、多様な保護者ニーズへの対応のため、持続可能な教育・保育環境の整備に向け適切に取り組んでまいります。

 

具体的には、民間保育園等が行う施設整備への支援、障がい児保育や一時保育事業への財政的支援の強化、これまでに町内にはなかった病後児保育事業の実施に向け、民間保育園の協力を得て整備を進めてまいります。また、放課後児童クラブの本設整備も併せて進め、子ども子育て支援の充実を強化してまいります。

 

なお、乳幼児への各種予防接種については、29年度からは釜石医師会の理解・協力を得て、医療機関での個別接種へ方法を統一し、保護者の利便性の向上を図ることとしております。

 

(介護、高齢者福祉施策の展開)

平成274月の介護保険法改正に伴い、介護予防事業が見直され、支援が必要な高齢者に対し、効率的かつ効果的な支援を行うことを目的として「介護予防・日常生活支援総合事業」が平成29年4月から実施されることとなっており、町においても、支援を必要とする高齢者を対象とした、介護保険事業所を含めた多様な担い手による生活支援メニューを検討し、実施に向け取り組んでまいります。

 

(仮設住宅の集約とコミュニティ総合支援) 

平成29年1月末現在、応急仮設住宅の入居状況は、設置戸数2,097戸に対し、被災世帯戸数1,102戸であり、今年度末には被災者の入居割合が5割を下回る見込みであります。今後は、生活再建に伴い、入居者がいなくなる棟も増えることから、30年度上半期までに応急仮設住宅団地を集約してまいります。また、これに併せて、平成29年秋頃までに、特別な理由がなければ応急仮設住宅の入居延長が認められない「特定延長」に切替えることといたします。

 

このように、復興が進み応急仮設住宅の環境が変化してきている中、支援の内容も見直しが必要な時期を迎えております。これまで復興支援員協議会で行ってきた仮設団地の支援員配置事業については、規模を大幅に縮小しつつ、地域福祉の要である社会福祉協議会に業務を引き継ぎ、被災者の安否確認などの支援を継続してまいります。

 

また、被災者の再建に係る悩みや疑問に対しては、「再建支援相談員」を新たに配置し、被災者がスムーズに再建できるようにサポートしてまいります。

 

さらに、町づくりのハード整備が進む中、住民の方々が新たな居住の場での生活や生業が始まり、地域内での繋がりを住民の皆さんが育むことで、互助、共助の取組みが生まれていくものと考えております。こうした繋がりを構築するため、今後も継続して地域コミュニティの形成のための支援を積極的に展開してまいります。

 

(医療費助成、国保事業の推進)

国民健康保険及び後期高齢者医療保険では、東日本大震災により被災した被保険者に係る医療費の一部負担金免除を、国及び県の財政支援を受け、平成29年末日まで免除期間を延長しており、引き続き、被災者の被保険者が医療を受ける機会の確保を図ります。

 

また、国民健康保険では、30年度から県が財政の責任主体となり、市町村は引き続き保険給付、保険税の賦課徴収及び保健事業等を担うこととされていることから、県や県内各市町村と連携し、円滑な制度移行の準備とともに、現行制度の健全な運営に努めてまいります。

 

(結婚支援の推進)

また、大槌町地方創生事業として、28年度は初めて町が主体となった、出会い応援イベントと結婚サポーター活動についての普及啓発講座を開催しました。29年度は、出会い応援事業をさらに推進し、広く町民から結婚サポーターへの登録を呼びかけるなど、町ぐるみで出会いの応援体制を構築してまいります。

 

【経済産業基盤】

次に、経済産業基盤の取り組みであります。

 

(農林水産業の振興)

農林水産業の振興については、昨年の台風10号の影響による営農活動への支障を低減させられるよう、まずは災害復旧を最優先に取り組みつつ、鳥獣被害への対策などにも引き続き注力してまいります。

 

林業では、これまで東日本大震災の被災木のうち住民の安全等に影響する箇所に係る処理事業を優先してまいりましたが、その処理に一定の目途がついたことから、29年度からはその財源を町産木材の流通拡大など林業振興策の強化に振り向けてまいります。

 

水産業では、水産物の生産量の回復に向け、魚市場への水揚拡大や磯根資源の管理を促進する事業を引き続き実施いたします。

 

地域の農林水産物の付加価値を高めるという6次産業化の目的に基づき、これらの施策を推進していくため、町内産品を生産することで付加価値が加えられ販売されることを通じ、ブランド化や所得の向上につながっていくよう取り組んでまいります。

 

(商工業の振興)

商工業の振興については、町方地区等の住宅地の引渡し目途がついたことや、当初平成28年中の期限であった仮設施設商店街などの撤去等に係る助成期限が1年半程度の延長を認められたこともあり、商工業者の本設再建の動きが活発化してきております。

 

町では、中小企業被災資産復旧事業費補助金などの各種補助制度のほか、28年度は、再建等の際の負担を軽減できるよう「おおちゃん融資」制度を創設しました。また、復興特区法に基づいた町独自の計画が認定を受けたことで、製造業、観光業などに加えて、商業や工事・整備業等も税制等の優遇措置を受けられる対象を拡げるなど、本設を目指す事業者の支援制度を充実させたところであります。

 

また、町内で新しい事業者の創出も促進するべく、国・県の起業支援と共に町独自の起業促進補助金制度を継続し、29年度も引き続き、商工会、金融機関などと連携し、これらの制度の周知を図るとともに、事業者の方々の復興への歩みを後押ししてまいります。

 

(企業誘致の促進)

企業誘致の促進と雇用対策の強化については、震災後に立地協定を締結した5社のうち、28年度中までに4社が本格又は部分操業をしており、1社が平成29年中の操業開始を予定しております。

 

 今後は、町内での就業先の拡大に向け、引き続き、事業拡張計画等のある企業の把握に努めてまいります。

 

また、雇用のミスマッチなどによる労働力不足に対応するため、町外の学校への訪問による町内事業者のPR、ハローワーク等と連携した「就職相談会」出張窓口や、UIターン就業支援事業助成金制度を継続するとともに、いわゆるプチ勤務といわれる超時短勤務といった多様な働き方の啓発に努めるなど、就業、雇用確保に係る施策を推進してまいります。

 

(観光振興の更なる促進)

観光振興については、三陸ジオパーク推進協議会などの行政間連携に加え、観光資源の再生への取組みである、新山つつじの環境再生イベントと、民間イベントである新山高原ヒルクライムとの連動や、従来から町民が主役となる、大槌まつりの「観せ方」に工夫を加えるなど、町民を含めた民間との連携が外部からも大きな評価を受けるなど、相乗効果が表れてきております。

 

今後も、町民との連携・連動を強化しながら、町内の観光資源をより魅力的にブラッシュアップを図り、取組みを進めてまいります。

 

(ブランド推進と観光物産協会の再構築)

町産品のブランド化については、販路開拓の機会の創出に引き続き取り組むとともに、平成29年が郷土の先人であり新巻鮭開発の祖、大槌孫八郎政貞の没後400年にあたることから、この機会を捉え、おおつち鮭まつりなど情報発信を強化することで、より一層のブランド化を進めてまいります。

 

また、課題となっている観光物産協会の再構築につきましては、事務局を担う人材や資金の不足などを解決し、本来あるべき姿を実現するため粘り強く検討を進めてまいります。

 

【教育文化基盤】

次に教育基盤の取組であります。

 

大槌の将来を担う活力があり、故郷に誇りを持つ大槌人を地域一体となって育成し、歴史や伝統、生活文化を発掘・再生し、新しい世代に伝えることが重要であります。

 

(教育振興といじめ対策)

この後、教育長から詳しく教育方針については申し上げますが、28年度から大槌学園が義務教育学校、吉里吉里学園は小中一貫型小・中学校として新たにスタートいたしました。

 

29年度は、大槌型教育及び文化基盤の復興を中心としながら、図書館司書支援員を配置し、学校図書室と町立図書館の円滑な運営と連携強化に努め、児童生徒及び町民の読書活動の充実を図ってまいります。

 

また、児童生徒のいじめや不登校については、総合教育会議においても重点施策として取り上げ、「大槌町いじめ防止基本方針及び心の健康観察」等の結果を基に、これまで以上に町、教育行政、学校、家庭、地域住民、関係機関が連携した取り組みを行い、児童生徒の安全・安心な教育環境を構築し、未然防止、早期発見、早期対応を推進してまいります。

 

(教育基本条例の制定と大槌高等学校のありかた)

大槌型教育のより良い実践を目指すと共に、生涯を通じた継続的な学びの広がりを確保するため、29年度から、教育の推進の柱となる大槌町教育大綱を見直すとともに、就学前から学校教育12年間を通した教育の柱と、それを支え育てる学校・家庭・地域・行政の役割を明確にする大槌町教育基本条例の制定に向けて取り組んでまいります。

 

また、大槌高等学校のあり方については、29年度の入学者から2学級制となりましたが、大槌高等学校の存続は、人口減少対策において非常に重要であることから、大槌町地方創生総合戦略と併せ、町内各学園で実施している「ふるさと科」の復興教育及び防災教育と、大槌高校で活動している復興研究会とを結び付け、将来の町づくりに資する力を育成していくとともに、高校の魅力化と存続に関して、岩手県教育委員会、大槌高等学校と共に考え、より連携を深めてまいります。

 

(生涯学習の促進と郷土財の活用)

生涯学習の促進につきましては、公民館活動や地域コミュニティを積極的に進めるため、吉里吉里分館の建設工事に着手し、赤浜分館も整備に向けて進めてまいります。

 

また、スポーツを通じて町民の健康づくりや体力づくり、さらには競技スポーツの振興を図るため、野球場やサッカー場などスポーツ施設の整備を総合的に検討してまいります。

 

郷土財の活用では、大槌の豊かな自然や歴史資源、文化財を後世に伝えるとともに、蓬莱島、浪板海岸、新山高原など郷土財を有効に活用し、交流人口の拡大と観光事業に寄与していきたいと考えており、特にも、町指定天然記念物のイトヨと湧水については、今後、学習会や講座等を開催し、町民の理解を深めてまいります。

 

(御社地エリア復興拠点施設と連動した図書館整備)

(仮称)御社地エリア復興拠点施設につきましては、平成2812月に建築工事に着手し、平成30年2月末の完成、平成30年4月の施設のオープン、同年6月の図書館開館を目指しております。

 

このため、完成までの間、現場見学会などのイベントの企画や、利用が想定される団体との連携を深めながら、利用率の高い、町民に親しみを持っていただけるような施設となるよう尽力すると共に、施設管理のあり方についても検討してまいります。

   

(埋蔵文化財の扱い)

  埋蔵文化財については、土地区画整理事業や防災集団移転事業における震災復興に伴う大規模な野外調査はすでに完了しました。引き続き、罹災者を含む個人住宅等の遺跡調査や赤浜2遺跡及び町方遺跡等の各遺跡の整理事業を進めてまいります。併せて、遺跡調査で出土した遺物等の展示公開も併せて進めてまいります。

 

埋蔵文化財に係る遺跡調査につきましては、引き続き、岩手県教育委員会との連携・協力を得ながら、早急に調査を行ってまいります。

 

5 むすびに

以上、私の町政運営における所信の一端を申し上げました。

 

むすびになりますが、国の進める地方創生は、各市町村の自助努力を促すものであり、財政力の厳しい大槌町と財政力が豊かな自治体とで、同じ土俵で相撲をとっても勝ち目はありません。我々の土俵は、歴史・伝統・文化・自然を基盤とするものであり、それらの特質・特性を様々に組み合わせることが、まちづくりの王道であると強く意識しているところであります。

 

「種の起源」の著者・ダーウィンは、「力の強い種ではなく、変化に対応した種が生き残る」と述べています。また、日本ラグビー元コーチ・エディ・ジョーンズは「日本代表は、オーストラリア代表のワラビーズやニュージーランド代表のオールブラックスと同じラグビーをしている。これでは、絶対に勝てない。それぞれの取り組み方・戦い方がある。」と話し、日本人らしい、日本人の体格にあったラグビーを追求したことで、2015年ラグビーワールドカップ大会において、世界3位の南アフリカに劇的な逆転勝ちをおさめました。

 

私たちには、震災後、各方面から応援をいただく中で、国・県・関係団体・NPO・企業・大学等、新たな仲間ができました。このネットワークを能動的に活用し、情報の交換、ノウハウの共有を構築しながら、人口減少、高齢化の厳しい情況に立ち向かうため、町民のみなさまと共に「今、このときだからこそ考え、今、このときだからこそ行動」してまいりたいと思っております。

 

最後に、町民の皆様並びに議員の皆様の一層のご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の施政方針といたします。

 

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