○大槌町災害復興基本条例

平成23年9月30日

条例第15号

平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波により、多くの尊い命と財産が奪われた。大槌町おいては、明治29年、昭和8年の三陸地震津波、昭和35年のチリ地震津波等による被害状況を踏まえ、津波対策として防潮堤等の防災施設の整備や地域防災の取り組みなどを進めてきたが、今回の津波は、過去の津波を凌ぐ大規模なものであり、これまで数多くの災害に見舞われてきた本町にとっても、かつて経験したことがない大災害となった。

このような状況において大槌町は、災害復興にあたり、第一義的に町民の暮らしの安定・向上を図ることを目標として、市街地整備や産業振興等を含めた「暮らしの復興」を進めることとし、町民、事業者及び町が協働して、復興対策を総合的かつ計画的に推進するという決意を表明するとともに、復興対策の指針を示すため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、大槌町が大規模な災害により重大な被害を受けた場合において、被災後における暮らしの復興を実現するため、町民、事業者及び町の協働により復興対策を総合的かつ計画的に推進し、もって町民が安心して住み続けられる地域づくりを進めることを目的とする。

(用語の定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 災害 地震その他の異常な自然現象により生じる被害をいう。

(2) 暮らしの復興 災害により大規模な被害を受けた町民の暮らしの安定・向上を図ることを第一義の目的とし、被災前の地域社会にできる限り復旧し、生活の再建、再度の災害の防止及び生活・経済環境の向上を目指した復興を総合的に進めることをいう。

(3) 復興対策 被災後の暮らしの復興を図るための各種対策をいう。

(4) 地域協働復興 被災後において、町民が相互に協力し、事業者、ボランティア及び大槌町その他の行政機関及び他団体との協働により、自主的に地域社会の復興を進めることをいう。

(5) 復興町民組織 地域協働復興に関する活動を行う組織をいう。

(6) 地域復興協議会 復興対策を総合的かつ計画的に推進するための過程における、地域住民との合意形成を図るための地域住民で構成する組織をいう。

(復興の基本理念)

第3条 町民、事業者及び町が、協働して復興対策を推進することにより、大槌町民憲章の具現化を目指すこととする。

2 町長は、暮らしの復興に際して、被災者及び町民との協働のもと、医療、保健福祉、産業、教育文化、まちづくり等の復興の課題を、総合的かつ計画的に取り組み、歴史、文化や景観を生かした安全で住みやすい快適な環境創造を図るものとする。

(町長の責務)

第4条 町長は、災害により大規模な被害が発生したときは、暮らしの復興を実現するため、速やかに災害復興基本計画及び災害復興実施計画(以下「計画」という。)を定めなければならない。

2 町長は、暮らしの復興を実現するために、町の組織及び機能を挙げて最大の努力を払い、必要な施策を実施しなければならない。

3 町長は、計画の策定に当たっては、町民及び事業者(以下「町民等」という。)並びに復興町民組織の意見を聴くように努めるとともに、復興対策の実施に当たっては、町民等及び復興町民組織の適正な合意形成に努めなければならない。

4 町長は、国、県及び関係機関との連携を図り、復興対策の推進その他必要な施策を実施しなければならない。

5 町長は、計画の策定に当たっては、ボランティア、企業、NPO、NGO、高等教育機関などに積極的な支援と参画を求め、開かれた復興に努めなければならない。

(町民等及び復興町民組織の責務)

第5条 町民等は、自立的に、かつ、相互に協力し、自らの生活及び生業の復興並びに地域協働復興に努めなければならない。

2 町民等及び復興町民組織は、町の定める計画に基づく復興に努めなければないない。

3 復興町民組織は、地域住民、地域内に存する事業者等の合意形成を図り、地域復興のための企画、立案、実行等に取り組み、町とともに地域の復興に努めなければならない。

(町民等の参画と協働による復興の推進)

第6条 町長は、災害からの復興に関して、町民等の参画と協働を保障し、地域住民の力を最大限に活かした復興を推進するものとする。

第7条 町長は、町民等が被災後に被災地にとどまり、生活や生業並びに被災前の地域社会をできる限り維持できるよう、町民等の暫定的な生活及び生業の場の確保に努めるものとする。

第8条 町長は、平常行っている町民等の各種地域活動の推進にあわせ、あらかじめ、地域協働復興に対する町民等の理解を深めるよう努めるものとする。

(地域復興協議会の設置)

第9条 町長は、復興対策を総合的かつ計画的に推進するための過程において、地域住民との合意形成を図るための地域住民構成員とする組織を設置する。

2 町長は、地域復興協議会の運営について、別に定めるものとする。

(町民等の参画と協働による復興への取り組みに対する支援)

第10条 町長は、町民等が参画と協働による復興を推進するため、復興町民組織に対し、情報の提供、相談体制の充実、資器材の提供等、必要な支援を行うよう努めるものとする。

2 町長は、国、県及び関係機関団体との連携を図り、復興町民組織の活動に対して必要な施策の実施に努めるものとする。

3 町長は、復興町民組織の活動を支援するため、専門家、NPO、NGO、高等教育機関等との協力関係の構築に努めるものとする。

(災害復興本部の設置)

第11条 町長は、災害による大規模な被害が発生し、総合的、計画的な復興対策を迅速かつ円滑に推進する必要があると認めるときは、大槌町災害復興本部(以下「本部」という。)を設置するものとする。

(本部の組織及び職務)

第12条 本部は、本部長、副本部長及び本部員を置く。

2 本部長は、町長をもって充てる。

3 副本部長及び本部員は、本部長が町の職員のうちから指名する。

4 本部は、大槌町災害対策本部条例(昭和38年大槌町条例第14号)で定める大槌町災害対策本部と連携し、復興対策を推進するものとする。

(本部の廃止)

第13条 町長は、暮らしの復興が完遂し、本部の設置目的が達成されたと認めるときは、本部を廃止するものとする。

(委任)

第14条 この条例に定めるもののほか、地域協働復興の推進に関して必要な事項並びに本部の設置及び運営に関して必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

大槌町災害復興基本条例

平成23年9月30日 条例第15号

(平成23年9月30日施行)