「大槌って海も山も川もある自然豊かな町なんだけど、町民はその魅力に気づいてないんだよね」
笑顔でこう話すのは、大槌町安渡地区出身の佐藤加奈絵さん。佐藤さんは今、『大槌陣屋』という団体で会長をつとめています。
『大槌陣屋』は、活動を通して大槌の伝統文化を学び、体験することによって大槌の知られざる魅力を再発見してもらうことを目的として活動している団体です。
『大槌陣屋』の活動は、ヒメボタル観察会、大槌湾クルージング、ワサビ田作りなど大槌の魅力をたっぷり楽しめるものばかり。
佐藤さんは陣屋の活動をしていく中で「大槌町のことはだいたい知っていると思っていたのに、知らない事がたくさんある」と気づいたそうです。
「こんな素晴らしい文化や伝統があるのに、知らないなんてもったいない。次の世代の子供たちに、この素晴らしさを伝えていかなければ…」
例えば郷土料理。いつも食べているのに、実はその作り方を知らない人も多くいます。
「作り方を体験してもらうことも、大槌の文化や伝統を伝えていく方法の一つなんですよね」
町内の参加者の中から講師をお願いし、それぞれ得意な分野について講演してもらう企画も取り入れています。
佐藤さんは、コミュニティづくりや地域住民が主役になるプロジェクトの企画とその調整をサポートする『大槌町地域コーディネーター』としても活動しています。
コーディネーターの活動の中で、一番印象的だったのは『ファシリテーター(中立的な立場から活動を円滑に進めていく役割)』の仕事でした。
「ワークショップや色々な講演会に参加していく中で、人の意見をまとめたり、スムーズに進行しなければならなかったり…。大変なことも多いですが、勉強や経験を重ねていくうちに、様々なところで役に立ち、今までとは違った視点で、物事が見えてくるんです」
佐藤さんは、陣屋での活動やこれまで学んだ事を生かしながら、同じく地域で活動をしている他の団体ともお互いに協力しながら、何か一つのことに取り組めないかと考えています。
「子供から大人まで楽しめる企画を考えていきたい。でも、見てると子供より大人が楽しんでいたりするんだよね!自分たちも楽しみながら、もっと楽しいイベントを大槌で企画していきたいです」
これからも佐藤さんの活動に注目です。
(KAI OTSUCHI)
佐藤 加奈絵(さとうかなえ)さん 47歳
大槌町安渡二丁目出身。佐藤理容所の長女として生まれる。 大槌高校在学中に北日本理美容の通信にて卒業学科試験を合格。 卒業後に盛岡の理容店に就職。その後、東京の理美容室で3年働き、理美容師免許を取得。新潟のヘアーショップで7年働いた後、大槌に戻り、SMCで震災までの11年間働く。 震災後に仮設店舗「ヘアサロンALWAYSさとう」をオープン。現在も地域の憩いの場を提供している。大槌陣屋会長、安渡町内会理事、大槌町地域コーディネーターもつとめ安渡地区を担当。家族構成は長男、長女、次女、佐藤さんのお母様の5人家族。