HOMEふるさと情報リレーコラム地域の力や大切に思う事・物を再発見していくことが、まちづくりの第一歩

地域の力や大切に思う事・物を再発見していくことが、まちづくりの第一歩

イベント時の元持さん

 

自分が育った大槌で、まちづくりの活動を始めた理由について、まちづくり自体は以前から大槌以外の町や国でもやってみたいと思っていたと話す元持さん。

 

高校卒業後、大槌町を離れたが、いつかは向き合わなければならないと感じていた。「自分が60歳くらいになったら地元で、高齢者も障害者も誰もがそこに居たくなるような場所作りをしてみたいと思っていました。今回の震災がきっかけとなり、地元に戻るタイミングとなりました。」

 

これまで、理学療法士として地域医療や福祉に携わってきた。さらに青年海外協力隊に参加し、「地域の人たちや地域にとっての仕事になっているだろうか、しっかりと地域の住民向き合うことが大切」ということを学んだ。

 

元持さん

 

2012年11月に特定非営利活動法人つどいを設立。昔の大槌の暮らしの智恵や経験を語り合う“いどばた会議”の開催や、ひょっこりひょうたん塾、お茶っこの会、フリーマーケットのサポートなど、「場づくり」を通じて、住民達と一緒に地域を見つめ直し、人々と地域の関係性を作り直す活動をしている。

 

「今までも、地域の人が住みやすい環境を作る為のサポートの仕事をしてきました。現在は、場所を大槌に移していますが、地域に向き合う根本的考えは大きく変わっていません。」と話す。

 

20年ぶりに地元で仕事をするにあたり、一からの関係づくりは大変な面もあった。その一方で震災時に避難所で知り合った人達とは何かあれば頼み事ができる関係が築けた。関係づくりの中で、地域特有の決め事や慣習などにも気づくことができた。それらを壊さないよう大切に思うばかり、遠慮しすぎるなど自分の立ち位置が難しい。と苦笑する。

 

元持さん

 

「皆さん『絆』とかって話すんですけど、私にとっては『しがらみ』(笑)」

それでも、田舎ならではの人間関係の濃さを面倒に思うのは若い時だけ、だんだんと年を取るうちに本当はここで暮らす為に大切な事だと気付く。と自らを振り返る。

「何かあった時に、名前を言えば『あぁ、あの家の子』ってスッと仲間に入れてくれたりする。震災の時は、地域のつながりが大きな力を発揮し互いに助け合っていました。地域のつながりは、田舎ならではの良さと安心の担保になっている。そういう読み替えができると、もう一度『しがらみ合い直す』という事が、今、必要かなと思います。」

 

生活が便利になるに従って本来の暮らしが壊れていく。海外派遣の中、そのような歯がゆい事例を見てきたからこそ、地域の人に軸を置いた活動を基本とする。

 

イベント時の様子

 

「町や暮らしが変化していく中、自分なりの判断や意見が言える場面があったらいいですね。自分のこだわりや大切にしたい事などを話すことで、自分の持つ暮らしのイメージが持てるようになると思います。実際に住む人達が動き出し、その人達が周りの人達も巻き込んで元気になる事が、いわゆる『復幸』に繋がるのかなと。」

 

イベント時の様子

 

震災から早くも5年、今後の活動について尋ねると「ここからかな」と表情を引き締める。

 

「コミュニティカフェの様なものも作ってみたいし、Uターンの人達が『大槌に帰って来たい』と言ってもらえるような、受け手側になるのもいいかなと思いますね。まだ発掘されていない地域の宝はたくさんあります。人の良さや面白い活動をしている人、興味深い仕事を創るチャンスや自分の暮らしをイメージできるような材料を、町のあちこちから見つけていきたいと思います。」

 

元持幸子さん

元持 幸子(もともち さちこ)さん
特定非営利活動法人つどい 事務局長

大槌町NPOボランティア団体連絡協議会 会長

 

 理学療法士として数年、地域医療福祉に携わる。青年海外協力隊として地域福祉開発事業に参加。震災時には、大槌にて緊急救援活動のチームで活動をし、2012年11月、地域住民の力と笑顔を引き出し、自分の故郷で新たなまちづくりの仕組みを考える「特定非営利活動法人つどい」を立ち上げる。現在は「いどばた会議」を開催するなど、住民のつどう場のコーディネートや中間支援等を行う。大槌町出身。

 

 

 

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